店舗・施設をその地域でオープンしようと思ったきっかけは？

私はこれまで東京や福岡のさまざまな飲食店で働いてきましたが、その中で新しいことに挑戦したいという思いが芽生え、最初にワインと生パスタの店「Gru Gru Kitchen(グルグルキッチン)」をオープンしました。その後、大川市の「境木工」さんにお声掛けいただいたこともあり、2021年には姉妹店となる「STUMP COFFEE」を「KAGUHAUS」の1階にオープンしました。実際に運営していく中で「大木町周辺には、午後にみんなが集まっておしゃべりをして過ごせるような喫茶店がないな」と気がつきました。町や地元のみなさんに貢献したいという思いから、2022年に「STUMP COFFEE」を「Gru Gru Kitchen」の隣に移転しました。

2つの店舗ロゴは「鶴」をモチーフにしています。店舗のある建物はもともと、私の祖父母が経営していた結婚式場「石川会館」でした。そこのロゴが鶴でしたから、引き継いだ形です。「Gru Gru Kitchen」の「Gru(グルー)」はイタリア語で「鶴」を意味します。「つるつる」で、パスタ麺も連想できるのではないかと思いました。2号店になる「STUMP COFFEE」の「STUMP」は切り株という意味です。当初店舗のあった大川は家具職人の街ですから、「鶴が大川に遊びに行く」というイメージで創っていただきました。この鶴のように、お店や街を気軽に行き来して楽しんでもらえたらうれしいです。

おすすめ、人気の商品の特徴を教えてください

「STUMP COFFEE」でお出ししているコーヒーは、大川の「あだち珈琲」さんで焙煎いただいた豆を使用しています。「STUMP COFFEE」をオープンする際、おいしいコーヒーをみなさんに飲んでもらいたいと思い、オーナーの安達さんにご相談したのがきっかけです。業務の合間に、コーヒーの淹れ方も教えていただきました。当店でしか飲めないオリジナルブレンドですので、「あだち珈琲」のファンやコーヒー好きの方にもぜひ飲んでもらいたいです。

食材は、なるべく地元の大木町周辺のものを使うように心がけています。季節限定のメニューですが、「大木町特産あまおうのパフェ」は、生産者直送の新鮮ないちごをふんだんに使っています。中に入っている自家製いちごジャムとソフトクリームのなめらかさが加わり、お1人でペロリと食べられる1品です。いちごの甘味とほのかな酸味がマッチした人気メニューです。ザクザクのマフィンのラスクと一緒に食べてもおいしいですよ。マフィンも季節ごとに新商品を作っています。

「Gru Gru Kitchen」の生パスタを使用した冬季限定の「チーズたっぷり特製ラザニア」は、「STUMP COFFEE」だけでしか販売していない、数量限定の人気テイクアウトメニューです。それぞれの良さを食べ比べて味わっていただきたいです。

オープンして良かったと思ったできごと、大変だったことは何ですか？

お客様の笑顔が見られることですね。「STUMP COFFEE」を作ることで、目標に掲げていた、カフェの少ない大木町に語らいの場を提供することができました。「Gru Gru Kitchen」でランチ後に来られる方、ディナータイムまでコーヒーを楽しむ方もいらっしゃいます。「ゆっくり過ごせる場所ができて良かった！」とよろこんでいただけて、こちらもうれしくなります。

お店の開店準備は大変でした。改装作業は、床の張替えからはじまって。イスは、自分たちで丸太から切り出して、馴染むようにヤスリもかけましたよ。「STUMP (切り株)」なんだから、木がなくては！今後は、大川の家具も取り入れたいと思います。木の一枚板のテーブルがあったらかっこいいんじゃないかと思って、色々計画中です。店作りも楽しみながらこだわっていきたいです。

今後はどのようなことをしたい、どんな風になったら良いな！と考えていますか？

季節ごとのメニュー作りは、今後も力を入れていきます。大木町は、フルーツだけでなく、きのこ、アスパラガスなどもおいしいです。これから夏に向けて爽やかにスムージーなどのドリンクも開発したいと思います。

スタッフを増やして、マルシェやイベントに出店も行えたらいいなと考えています。一緒に働くことで私自身も学びになりますから、お互いに成長していけると良いですね。人を育てることにも携わりたいです。各地域に店舗を増やしていくのも良いですし、「STUMP COFFEE」のある、この施設に出店してくださる方も募集したいです。一緒に大木町を盛り上げてくれるメンバーが増えたらうれしいです。

「STUMP COFFEE」をスタートする上で、たくさんの方の力添えがありました。「あだち珈琲」の安達さんや、食材を提供してくださる地元農家の方だったり。ロゴデザインを手掛けてくれたデザイナーさんとは、東京で働いていた時にお会いしたのがご縁です。こちらのイメージを細やかに汲み取ってくれて、すてきなデザインを創ってくれました。家具やデジタルデザイン、食材にも出来上がるまでにストーリーがあります。そういった目には見えない、生産者が込めた思いも大事だと思います。これからも人との繋がりや、それぞれの思いも含めて大切にしていきたいです。