加藤 マイケル孝仁 様

2023.03.07

エリア:小郡市

なぜこの市・町に移住、活動しようと思いましたか?きっかけなども教えてください

 

私は1987年、24歳の時にアメリカから日本へ移住してきました。環境系の理科と情報科学を大学で学んでいたため、来日後もプログラマーとして色々と地方創生事業、DXなどのプロジェクトに携わってきました。仕事やプライベートで日本全国を回ったことで、東京暮らしより地方で暮らすことへの憧れが募り、移住先を真剣に探していた時、小郡市の地域おこし協力隊のメンバー募集のことを知りました。協力隊の仕事の内容が古建築活用プランナーということで、私の今まで携わった事業とは全然違うかもしれませんが興味を持ちました。私は、幕末から江戸頃の日本の歴史に以前から強い興味を持っていました。江戸時代までの日本、参勤交代に利用された旧街道・街道は再生可能な暮らしには欠かせない存在でした。この「旧松崎旅籠油屋」付近もそうです。そういった歴史を繋いでいく古建築活用はまさに持続可能性と関連する大事な建造物です。「旧松崎旅籠油屋」のビジュアルをはじめて見た時、もう一目惚れでした。「なんてすばらしいんだろう!私もぜひ、ここの活用に携わりたい」そう強く思ったんです。

 


移住後、地域おこし協力隊ではどんな活動をされていますか?

 

私は九州産業大学などの学生と一緒にさまざまなプロジェクトを行ってきました。大学生や20代の若者と一緒に再生可能な田舎社会を作っていく事を目指しています。農業・林業・漁業DXを含めた取り組みに美術・芸術科の大学生のアイデアや能力が活かせる活動を行っています。人が住みたい、働きたい、生活がしたい田舎を想像し、実現できる仕事を作りたいと思っています。一見「夢」のような言葉に聞こえるかもしれませんが、持続可能なコミュニティー再生は夢からスタートしなきゃ!「どうなっているのか」より「どうしたいのか」が先だと思っています。その「どうしたい」ことを一つ一つ「経済化」仕事としてできるようにしていけばそのコミュニティーには活気が湧き、若い人たちも興味と熱意を持って集まってくれるのではないでしょうか。

今、学生たちと取り組んでいるのは、紙芝居『冒険の大道』制作です。旧松崎宿、薩摩街道の駅だった宿場町は、西郷隆盛などの偉人も訪れた歴史的に重要な場所です。その地域のヒストリーを物語としてまとめています。英語版、日本語版、笑いも交えた漫談版の3種類を制作中です。歴史をわかりやすく、おもしろく伝えるのが目標ですね。学生たちも学ぶだけでなく、イラストや文章という形でアウトプットする場にもなります。それを、昔の街道にあたる小学校や文化施設に寄贈したり、イベントなどで紙芝居を行いたいと考えています。

 


移住者、観光者の方におすすめしたいこと、食べ物、場所(名所やお店など)などを教えてください!

 

私の一推しは、旧松崎宿、薩摩街道の駅だった宿場町の『旧松崎旅籠油屋』です!松崎宿は薩摩街道だけではなく、日田街道や長崎街道にも繋がり、また筑後の国の最北、筑後川の北にあったため、非常に多くの人たちが利用した宿場でした。九州の歴史、文化、または朝鮮半島や中国、インドとの関係からのものも多く通過し、人・もの・情報が集まりやすい場所。この歴史を忘れては小郡市の未来の方向性が分からなくなると思うのです。歴史を紐解くことで、その土地のルーツや文化を理解できますから。私が所属している埋蔵文化財調査センターに行けば博物館に負けないほどのコレクションも無料で見ることができますよ。

これからインバウンドの観光客も増えていくので、対応できるよう紙芝居も英語版を制作しています。海外の方だけでなく、まずは、日本の方、地元の方に、この地域の歴史の深さ、古い建造物のすばらしさと、守りながら活かしていくこのと重要性を体感してもらえたらうれしいです。

 


今後はどのようなことをしたい、どんな風になったら良いな!と考えていますか?

 

紙芝居を持って自転車で、長崎街道や肥前街道を巡りたいですね!昔は、みんなそこを徒歩で越えていましたから、本来なら歩かないといけないのでしょうけど。私たちの街の歴史も届け、現地の方にも自分の住んでいる地域の歴史に興味を持ってもらいたいです。そして、訪れた地域の歴史を学びたいと思っています。

私の専門分野は環境科学がテーマです。多様性のある森林を守り育てることで、良い土の再生に繋がります。その土地の歴史・風土を知ることで、本来の自然の状態を理解し取り戻す原動力に繋がると考えています。学生や若い世代に伝えることで、田舎、森林産業などの再生の重要性と向き合う、興味を持つきっかけになれば良いなと思っています。歴史を学び、古い建造物や物語と触れ合うことでインプットし、紙芝居などを制作し自身の口で語ることでアウトプットになります。

今後の筑後、九州の未来を創っていく人材を作る。それを目指して、学生たちと一緒に楽しく活発な活動をこれからも続けていきたいと思います。

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