店舗・施設をその地域でオープンしようと思ったきっかけは?
大刀洗町は自然環境に恵まれ“水”が美味しい事が魅力の1つです。大刀洗町には以前、7軒の造り酒屋があり”水”に大きく関わってきました。近くにはビール工場もあり”水の質”は、それぞれのメーカーにとって重要なものです。弊社も同じく、蒲鉾などを製造する上で大きく関わりがあります。
オープン当時、大刀洗町は海から遠く離れた内陸部にあるので魚介類が手に入りにくい地域でしたから、出来たてのてんぷら、ちくわが大変よろこばれました。その事もあり、今でもてんぷらなどは弊社では代表する商品となっています。お祝いごとや贈答品としても注文いただいています。蒲鉾は、先代から受け継いだ配合をベースにし、グレードの高いすり身を使い素材・製法を変えないことを心掛けています。天ぷらは、極力デンプンを少なくして、冷えても素材が固くならないための工夫をしています。ふわりとした口当たり、そして、ほど良い弾力。昔より、変わらぬ味と食感を作り続けています。
おすすめ、人気の商品の特徴を教えてください
弊社の代表商品は、てんぷらの『おっ』です。ユニークな名前でしょう?創業当時は『てんぷら』という名前で販売していましたが、私が二代目になり「インパクトあるパッケージにしたい!」と思い五十音の文字の中から選んだのが、『おっ』だったんです。「えっ」や「んっ」だと、なんだか否定的な感じがありますけど、『おっ』だとうれしい驚きを含んだ響きも感じられる。アルファベットにしても「O!」になるので『おっ』が丁度良いんです。
商品名を変更した当初は、昔から食べてくださっていたお客様から、『てんぷら』のままが良いと言われたこともありました。ですが、私やスタッフたちは、名称が変わっても、伝統の製法を守って変わらず美味しいものをお届けできる自信がありました。ある時、『おっ』を販売してからしばらくして、小売販売のために一部商店で『てんぷら』の商品名で販売することになりました。すると、その商店や弊社に「『おっ』は売っていないんですか?私はあのてんぷらが好きなんです」とお問合せを何件もいただいたんです。うれしい驚きでした。私達が思っていた以上に『おっ』は、大刀洗のみなさんに認知され、愛されていたんです。
オープンして良かったと思ったできごと、大変だったことは何ですか?
お客様に「美味しい!」と言ってもらうことが一番のよろこびです。弊社の蒲鉾やてんぷらを食べてくれたみなさんが、「おっ、こりゃうまか!」と思わず言ってくださる。これは家庭の料理であれ、食堂や、加工食品を造っている人皆が共通して心が温かくなる「うれしい言葉」ですよね。
地域のみなさん、特にお子さんたちに新鮮な魚を使った食事を楽しんでもらいたいと思っています。認可を受け、地元の小学校給食にてんぷらなどの提供を行っています。多くの蒲鉾は、つなぎに卵白を使う商品が多いのですが、弊社は不使用なので卵アレルギーのお子さんも美味しくいただけます。製造所は社会科見学も行っています。時々、私達も驚くような鋭い質問がお子さんから飛び出すこともありますね。興味を持ってもらえるのは嬉しいですし、工場見学に参加した子どもたちからお礼の手紙をいつもいただいています。励みにしつつ、これからも安心安全な製法で美味しい蒲鉾、てんぷらを届けようと身が引き締まる思いです。
今後はどのようなことをしたい、どんな風になったら良いな!と考えていますか?
『おっ』などの伝統の商品だけでなく、新商品の製造にも力を入れたいです。私は人のよろこぶ顔、驚いた顔を見るのが好きですから。
現在販売中の『極鯖』は、国産の新鮮な鯖と厳選したハイグレードのすりみを合わせて味酢に5、6日程漬け込み造ります。鯖もスリミも生の状態です。見た目にもインパクトがありますし、酢で締めるので賞味期限も20日間と長く、郷帰りのお土産などにもよろこんでいただいてます。
他にも、『なんちゃって唐揚げ!?』も人気です。大豆などを使用し、鶏肉は使用していませんが、見た目も食感も唐揚げに近いので、召し上がっても気が付かない方もいらっしゃいます。鶏肉が苦手な人にもよろこばれていますよ。ネーミングもスタッフが一緒に考えてくれるんです。美味しい商品を提供したいという思いを抱いて、真剣に向き合ってくれているので心強いです。
今後も、みなさんに笑顔と感動をお届けできるよう、「おっ!」と言われるような新製品や、厳選した素材により丁寧に作っていきたいと思っております。